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歯ぎしりとマウスピース

​歯ぎしりとは

 歯ぎしりとは専門用語でブラキシズムと呼ばれ、上下の歯が非機能的な状態(食事や発音以外)で接触していることを指します。
これを細かく分けると、
 ・上下の歯同士をギリギリとすり合わせる運動(グラインディング)
 ・上下の歯を合わせて噛みしめる動作(クレンチング)
 ・上下の歯をカチカチと連続で噛み合わせる動作(タッピング)
となっており、おそらく皆さんが歯ぎしりと聞いてまず思い浮かべるのは、一番上にあるグラインディングだと思います。ですが、下の2つも歯ぎしりに分類されます。上下の歯が2~3mm程度浮いて離れている状態が、安静がとれるポジションとされていて、歯と歯がくっついている状態は、実は顎や歯に負担をかけているのです。

歯ぎしり

​歯ぎしりの原因

 歯ぎしりの原因としてはストレスや遺伝、歯並びや生活習慣が考えられていて、特にストレスと遺伝が強く関与しているとの研究報告が多くみられますが、はっきりしたものはわかっていません。
 

​歯ぎしりが及ぼす悪影響

 では、この歯ぎしりがどのような悪影響を与えるのかというと、
 ①咬耗:歯の先端部分がすり減って徐々に平坦な形になっていき、歯が短くなっていくと同時に噛み合わせが悪くなっていく。
 ②くさび状欠損:歯の根元に近い部分が、くさびを入れるような形で欠損する。知覚過敏を起こす可能性あり。
 ③知覚過敏:歯ぎしりによって歯に過剰に力がかかることで歯の神経が傷んで、虫歯などの欠損がなくてもしみる症状が起こる場合がある。
 ④歯周病:歯だけでなく、歯の周りにも過剰に力がかかるので、歯茎に炎症が起こりやすくなり、結果的に歯周病の進行が早まる。
 ⑤骨隆起:歯の周りの骨がコブのようにでっぱる。基本的に無害ですが、稀に過剰に大きくなることで発音に障害が出る場合あり。
 ⑥顎関節症:顎や筋肉に痛みやだるさが生じて、口が開けにくくなったり、硬いものが噛めなくなる場合がある。
また、詰め物やかぶせ物がはずれやすくなるといったデメリットもあり、ほかにも色々な悪影響があってまさしく百害あって一利なし!といった感じです。すり減って失ってしまった歯はもとには戻りません。(関連記事:歯は消耗品

咬耗

​歯ぎしりをするタイミング

 歯ぎしりをするタイミングは寝ている最中や、なにかに集中しているとき、考え事をしているときなどがあって人によって様々です。起きているときの歯ぎしりは意識することで回避することは可能ですが、寝ている最中の歯ぎしり行動を回避することは極めて困難です。強いグラインディングであれば音がするので、周りの人に指摘してもらえるかもしれませんが、そうでなければ歯ぎしりしていることに気づくこと自体もなかなか難しいです。寝ている最中に歯ぎしりしている人の傾向として、朝起きた際に顎の痛みやだるさを覚えることがありますが、これは一つの目安になります。

​マウスピース治療の目的

 マウスピース治療は、こういった歯ぎしりによる悪影響から歯や顎を守るために行います。マウスピースを装着する意味は、
 ①歯を保護することで、歯がすり減ることを防ぐ
 ②マウスピースの厚みによって歯と歯が浮いた状態を強制的に作ること
で、歯や顎にかかる力を減らす
マウスピースは顎関節症に対してはある程度の即効性が期待できますが、ほかのものに対しては長期的に効果を与えていくので、せっかく作っても効果が実感できずにつけるのをやめてしまう人がいらっしゃいます
。ですが、すり減ってなくなってしまった歯は元には戻らないので、頑張って装着を続けてほしいですね。

​マウスピースの種類

 マウスピースは硬めのプラスチック製(ハードタイプ)と柔らかいゴム状シリコン製(ソフトタイプ)があって、それぞれ長所短所がありますが、効果の差はほとんどないといわれているので、どちらを使うのかは当院では好みに任せています。昔は保険適用外でしたが、今は保険適用となっていますので、大体5000円程度で作れます。歯ぎしりをしている自覚がある人や、歯がすり減っている傾向がある方、歯周病の傾向がある方はおすすめですので是非検討してみて下さい。

マウスピース
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