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歯磨きネタ③

R5.7.13

 歯を守るために日々の歯磨きは非常に大切ですが、気合を入れて磨きすぎるとかえって逆効果になってしまう場合があります。それは「力加減」です。専門的にブラッシング圧と言いますが、今回はこのブラッシング圧について解説していきます

 

歯磨きに力を込める必要はない

 汚れであるプラークを磨き落とすには、プラークに歯ブラシの毛先を適切に当てて磨く動作を多く行うのが大事です。力を込めたところで効率よく磨けるわけではありません。ボクシングで例えると、あてずっぽうに全力のストレートやアッパーを放つのではなく、力を抜いたジャブを正確に繰り返し当て続けることでプラークという相手をノックアウトすることができます。力を入れすぎると綺麗に磨けるどころか、逆効果になってしまいます。

 

強すぎるブラッシング圧による弊害

 日常的に強すぎるブラッシング圧で歯磨きを続けると以下のような弊害が生じます

①歯ぐきが下がる(歯肉退縮):毛先の硬い歯ブラシで強く磨くと、歯ぐきが傷つけられてしまい、それを日常的に繰り返すことによって組織が徐々に減っていき、結果的に歯ぐきが下がります。もともと歯ぐきが薄い方や歯周病が進行している方、歯並びが悪い方、歯ぎしりをしている方、高齢者は歯肉退縮が進行しやすいです。歯ぐきが下がると歯の根の部分が露出してしまい、根の部分は上部(エナメル質)と比べると脆弱な組織ですので、知覚過敏や虫歯といった二次的な弊害を引き起こします。また、歯ぐきが下がると、歯と歯の間に存在する隙間(鼓形空隙)が広くなりますので、それに伴って食べかすが詰まりやすくなってしまいます。

②歯ぐきが厚くなる(フェストゥーン):歯ブラシによって歯ぐきが傷つけられると炎症を起こします。炎症が繰り返し起こることによって体の防御反応が働き、歯肉退縮とは反対に組織が厚くなり、歯ぐきがロール状に肥厚してくる状態をフェストゥーンといいます。

③歯が欠損する:強すぎるブラッシング圧は歯ぐきだけでなく、歯も擦り減らしていくため歯の根元にくさび状の欠損を生じます。歯ぎしりによってもくさび状欠損が進行しますので、二つが重なると進行がより早まります。さらに歯肉退縮によって根が露出しているとより欠損しやすくなり、知覚過敏にもつながります。

 また、ブラッシング圧の強い方が粒子の大きな(磨き効果の強い)歯磨き粉を用いると、余計に上記の症状を引き起こしやすくなるとも言われています。

健康な状態の歯ぐき
ブラッシング圧が強い人の歯ぐき

適切なブラッシング圧は?

 歯みがきで適切なブラッシング圧は100~200mg程度と言われています。ただ、これだけではどの程度の力加減が良いのかわからないと思いますので、ご自宅にはかりをお持ちの方は上から歯ブラシを当ててみてもらえば加減がわかるので一度試してみて下さい。歯ぐきが下がってしまった方も、適切なブラッシング圧で繰り返し歯みがきを続けていると元の状態に近づいてくる場合もありますので、普段の歯磨きから意識してみて下さい。また、ブラッシング圧が強いという自覚がある方への対処法として、以下の方法もありますのでこちらも試してみて下さい。

①毛先の柔らかい歯ブラシを使う

②持ち方を変える(ペン握りだと力が加わりにくい)

③歯磨き粉を粒子の小さい(研磨成分が少ない)ものに変える

 あとは、歯ブラシの振り幅(ストローク)も大事です。振り幅の大きい歯みがき(いわゆるガシガシ・ゴシゴシ磨き)だと力が加わりやすくなりますし、なにより細かい部分の汚れがまったく落とせません。2~3mm程度の小さい振り幅で小刻みに振動させるイメージで磨くのが細かい部分の汚れを落とすのに必要です。

ブラッシング圧測定

 知覚過敏の症状がある方は歯磨きの力が強すぎるかもしれません。自分の歯ぐきが下がってきているのかどうか気になる方もいらっしゃると思います。専門家であればその辺りの判断ができますので、気になる方は一度歯医者で相談してみて下さい。

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